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vol.
5

田中 まいさん

田中 まいさん
京都出身。大学卒業後は一般企業に勤め、その後退職。京都にある母親のレザークラフトの店舗「VIENTO ESTE」を手伝いながら、革職人である母から革製品の製作手法を習得。2007年3月、ワーキングホリデーを利用してカナダはトロントへ。ESLを経て、プリンスエドワード島からビクトリアまで1ヶ月間のバス(グレイハウンド)旅行を終えて、カルガリーへ。現在、Alberta Boots Companyにてカウボーイブーツの製作をしつつ、週に1回は自分の趣味の時間と称して、レザークラフトの作品づくりに精を出している。

毎年7月になると、カウボーイの祭典Stampedeへ参加するために世界中のカウボーイが集まってくる、ここカルガリー。
カウボーイの街として知られるカルガリーでは、カウボーイブーツ、テンガロンハットや、数々の皮革製品、馬具の生産・販売がされています。Made in Calgaryのカウボーイブーツを作って30年以上の歴史を持つAlberta Boots Companyにて、その一端を担っている、田中まいさんにお話を伺いました。

 

カルガリーならレザーのお仕事があると思って。


-ワーキングホリデーの滞在先をカナダはカルガリーに決めたきっかけを教えてください。 
Image幼少時にニューヨークに半年間住んでいたことがあって、そのときの記憶からか大人になったら海外に住んでみたい、と思っていました。
カナダを選んだのは、英語の発音がきれいなこと。まずはトロントで3ヶ月ほど語学学校へ通い、その後カナダをバスで横断旅行をしてカルガリーに来ました。

最終的にカルガリーに来たのは、日本で母から教わってレザークラフトをしていたので、カウボーイの街であるカルガリーなら革製品づくりの仕事が見つかるかな、と。カルガリーに到着してからは電話帳で皮革製品を扱っているお店を調べて、自分の作品を持ってひとつずつお店を当たりました。革製品を扱うお店は数多くあったのですが、実際に工場を持って革製作を行っているところがなかったり、その時点で人を雇っていなかったり…と苦戦しました。

ご縁があってOKをいただいたのが、現在も働いているカウボーイブーツをメインに取り扱う"Alberta Boots Company"と、サドル(乗馬に使う鞍)製作や革製品の修理を扱う"R-N Custom Leather Works"でした。

ワーキングホリデーのビザを持っている間は、この2つのお店を掛け持ちして働いていまして、その後、ワークパーミット(労働許可証)をAlberta Boots Companyから出していただいたので、現在はAlberta Boots Companyで働いています。

 

 -具体的にはどんなお仕事をされているのですか。 

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日本では、スタンピングやカービングといった技術で、革にスタンプを押すように模様を付けたり、彫刻のように彫って柄を付けることをしていたのですが、Alberta Boots Companyで作るブーツは、ステッチングといってミシンで模様を縫っていく作業をしています。

最初、私はミシンの使い方は知っていても、革をミシンで縫う仕事はしたことがなかったので、戸惑いが大きくて。呆然としていたら違う部署に回してくれました(笑)。

仕事を始めて数ヶ月は、まずはフィニッシング(ブーツ製作工程の最終段階を扱う)部署にて、カウボーイブーツの靴底を付けたり、各部位を付けて完成させるお仕事をしていました。そこで、カウボーイブーツの作り方を学ぶことができました。

慣れてきた頃、再度ミシン室に移していただいて今はステッチングの仕事をしています。作業は慣れてしまえば普通のミシンと同じように扱えるのでそんなに難しくはないのですが、布を縫うのとは違って、革は間違えると跡が残ってしまうので間違えられないっていうのはありますね。

Alberta Boots Companyではステッチングの作業をメインにしているのですが、私自身はスタンピングやカービングの作業も好きなので、今でも自分の趣味で作品づくりを続けています。

ありがたいことに、以前働いていたR-N Custom Leather Worksにて、週に1回作業室で道具を貸していただいて、自分用にカウボーイブーツを作ったり、友人やお世話になっている知人にカバンやベルトを作ってプレゼントしたりしています。

自分でデザイン画を作って、トレースして、カービングをして、革に着色をして・・・作品が完成するまで時間は掛かりますが、これが私の息抜きタイムですね(笑)

 

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I like your jobの言葉が嬉しかった。

-日本とカナダで、革製品へ対する反応の違いはありますか? 

日本はどちらかというとブランド志向で、ブランドの名前に惑わされてしまって、製品の革の質と値段が見合っていないことも多々あるような気がするのですが、カナダは革とデザインの質が良ければ、どんなに値段が高くても「これ買おうかな」と即決で買っていく方が多いですね。

 カナダでは顧客の方の目が肥えているので、スタンピングが少し曲がっていたりすると「あ、ちょっと曲がっているね。」なんてお客さんから言われることもあります。

あと、やはりカルガリーならではなのですが、以前働いていたR-N Custom Leather Worksでは馬具の修理が多かったのも印象的でした。馬のコートの修理とかあるんですよ。日本では革製品の修理に携わってはいなかったので、勉強になりましたね。

 -仕事をしていて嬉しかったことは? 

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ビザの更新をする際に、R-N Custom Leather Worksからもワークパーミットへの申請をしていただけたのですが、その際、オーナーから"I like your job"、だから残って欲しい。と言ってもらえたのがとても嬉しかったですね。

普段は、決してそんなことを言うタイプではない人だったので(笑)、なおさら心に響きました。

 

 いつかカナダで自分のお店を開ければいいな。

 -今後の夢を教えていただけますか? 

現実的な目標としては、今後またワークパーミットを延長してもらって移民手続きにつなげることができたら、と思っています。

日本とカナダでレザークラフトへの需要や動向を見ていると、カナダの方が、一旦作品を好きになってくれたら買ってくれる人が多いような印象があります。なので、もしカナダへ移民することができたら自分のお店を持って、自分の作品を売ってみたいな、と思っています。

  


 <取材を終えて>

 数々のまいさんの作品を見せていただいた感想は「圧巻!」の一言。丁寧な仕事ぶりは、インタビューをしている間、ひとつひとつの言葉をゆっくりと丁寧に選びながら話す口調からも伺えました。使えば使うほど味が出て、一生使える革製品。心のこもった装飾がされたカウボーイブーツが、日本人の手によってここカルガリーで生み出されているなんて、嬉しいですよね。(取材・写真:Y)